第24回　「柳営茶会」開催のお知らせ

　今年は彼岸過ぎの三月末にも寒暖定まらず不順の日が続きましたが、四月の声を聞くや漸く爛漫の色濃き春の訪れとなりました。どちら様もお障りなくお過ごしでございましょうか、お伺い申し上げます。

　さて柳営会では毎年、徳川将軍家に関する伝統をいまに伝える、武家茶道　四流派の宗家・家元のご協力を得て「柳営茶会」を催しておりますが、 今年も下記の通り催すことに相成りました。

　「柳営茶会」は回を重ねて今回で二十四回になりますが、毎回有意義かつ盛大に終えることが出来ますこと、これも偏に皆様方のご支援に依るものと深く感謝申し上げております。

　茶会の開催に際しましては例年徳川御宗家恒孝様より、重代家宝の御軸を拝借しておりますが、この度は四代将軍徳川家綱公の御筆に成る『松竹梅』の御軸をお貸し下さることになりました。また前回、昨秋の会場は新装開館の根津美術館内庭園でしたが、今年は再び音羽の杜、護国寺の茶席に会場を移すことにいたしました。

　護国寺は五代将軍徳川綱吉公が御生母桂昌院の発願により天和元年（一六八一）創建された名刹で、真言宗豊山派の大本山であります。代表的な塔頭・月光殿は、明治以後三井寺から移築された国の重要文化財で、昨年から文化庁・五年計画の改修工事に入った為、今年は使用できませんが、一昨年までは茶席として使わせて頂きました。いずれに致しましても護国寺は柳営会とはご縁の深いお寺です。

　ビルが林立する前、池袋駅周辺から眺めた護国寺本堂の青銅葺きの大屋根は豊島が岡の象徴でもありました。戦後六十五年の昨今でも静寂に包まれた緑豊かな茶席で、四宗家・家元各家秘蔵の名器とともに往時を偲び、武家茶道の心に触れて頂ければと存じ、御案内申し上げる次第で御座います。なお茶券は数に限りがございますので、ご希望に添えぬ場合があるかも知れませぬが、その折は何卒ご了承下さいますよう。また不行き届きの点もあろうかと存じますがこの点も何とぞご寛恕賜りたく併せてお願い申し上げます。

平成二十二年四月吉日
　 柳営会々長　　興津昭夫