徳川賞（最優秀賞）

　私は毎年、家康行列と岡崎公園の桜を見ると、家の近くの大谷公園の桜の下で写真をとります。同じ場所をとっているので桜と比べて私の成長がわかります。そのあと、上地八幡宮のうこん桜を見に行きます。この桜はピンクではなく、うす緑色の花で、おとなっぽくしずかな感じに咲いています。お抹茶席があって、ここでお茶を飲むのが楽しみです。これが私のお花見です。

　学校の社会で町のお宝発見の勉強をした時、私は上地八幡宮を調べました。上地八幡宮のお抹茶は、京都の宇治茶「初昔」だそうです。これは、徳川家康の家来が上地のお茶を家康にさしあげたことがきっかけだそうです。働き者の家来が土の中から見つけた中の物がいつまでも新しいままでとっておけるという美しいつぼに、自分の家で作ったお茶を入れて届けたそうです。家康はとれたてのすばらしい香りのお茶をとても気に入って、この茶つぼに「初花」という名前をつけました。お茶は京都から茶師をよんで栽培します。家康が将軍となってからは、宇治の新茶を取りに行くのに、この茶つぼが使われたといいます。

「ずいずいずっころばし、茶つぼに追われてトッピンシャン。ぬけたらドンドコショ。」

の歌がお茶を取りに行く時の歌だとは知りませんでした。宇治から運んでくると中、茶つぼが上地の近くを通ると、ふる里をなつかしんで、今まで晴れていた空に雲がすうっとかかり、細かい雨がふりだすというお話しがあります。これは茶つぼのなみだ雨という昔話です。

　上地八幡宮のお抹茶茶わんは、全て上地焼きです。毎年、小学校で行われる学区の夏祭りには、上地焼きのお店が出ます。私の住んでいる大谷の土地は、よい燃料とねん土がゆたかで、水の便がよかったので焼き物にてきしていたと、近所のお年よりに聞きました。春にいただく初昔の味を家康も飲んだなんて何だかふしぎな気持ちになりました。名前くらいしか知らなかったので、徳川家康の本を読んでみました。

　岡崎城で生まれ、二六五年も続いた江戸ばくふ将軍。天下統一をした国のリーダー。今の日本のように平和ではなく、天下をとるため命がけで戦っていた時代。三才でお母さんと別れ、六才で人質としてよそにあずけられました。私は幼稚園に入ったころ、「お母さんにあいたい。」と泣いてしまったことがあるのに、自分の力で生きられるようになるまではと、がまんした竹千代はすごく強いです。からかわれても、決して手を出さずにいたといいます。

　安倍川の石合戦で、少ない人数の方が必死になって戦うから勝つ、という考えはさすがだと思います。私は、ドッジボールをする時や、家族といっしょに出かける時のことを考えてみました。味方が少なくなれば、速く動いたり、外野に送ったり、工夫してゲームをします。子どもだけの旅行に友達と二人で行った時は、人にたよらずに集合時間や場所を聞きのがさないようにしていました。

　私は四年生になって、学級代表という係をやりました。クラスが仲良く楽しくなるように、みんなを引っぱっていって、と先生は話してくれました。運動会の練習で四人一チームで台風の目をした時、私のクラスはいつも最下位でした。くやしくて、何とかしたいと思いました。いろいろな子がいるので走る順番やチームを決めました。がんばろうと声をかけてとにかく練習をしました。当日は一度も抜かれずに一位。がまんしてがんばった、みんなの気持ちが一つになったおかげで、とてもうれしかったです。

　家康の話を読んでいくと、何事もがまんすること、優しい心をもつこと、ね起きの時間をきちんと守ること、と私が守らなければならないことが書いてありました。人には長所短所があって、それをよく見ること、いばらないこと。信長と家康の決定的なちがいは、人の見方だろうと思いました。信長は力まかせだけれど、家康は相手をよく見ていつのまにか自分の思い通りにしていきます。リーダーに必要な力だとおもいました。

　日本一の国を作ろう、と悲しい事やつらい事をのりこえて、たくさんの戦いをした家康地球博が開かれた長久手町でも戦いがあったり、私の好きなパイとあんこのお菓子があるお店の近くにかわいい石のちょうこくがあったり、車で行ける所に家康をさぐる場所がたくさんあります。戦いの事や何代も続いた戦そうのない平和な江戸時代の事を、もっと知りたいと思いました。