日光山輪王寺宝物殿　展示

2009年8月6日（木）〜2009年10月6日（火)
三代家光とその時代

　三代将軍家光は、慶長九年（1604）に二代将軍秀忠の次男として、江戸城西の丸に生まれます。長兄である長丸の早世により、祖父家康の幼名であった竹千代を与えられ、嫡子として養育されました。

　元和6年（1620）九月には元服し、家光と名乗り、その三年後である元和9年（1623）に父秀忠から将軍職を譲り受けます。しかし、秀忠は家康に習い、自らは大御所として家光を後見したため、家光自身が政務に関わることは少なかったようです。

　寛永9年（1632）に秀忠が没した後は、将軍としての意思を強く持ち、参勤交代の制度化を代表とする大名統制の強化と秩序の成立、役方を中心とする幕府職制の整備、朝幕関係における将軍権力優位の確認、検地条例や慶安御触書にみられるような農村支配の確定、キリシタン禁令の強化、鎖国体制の完成などを行い、秀忠の作った幕藩体制をより強固なものへと作り上げていきました。

　また、家光は終生父を超えて祖父である家康を敬愛し、信仰しました。その最大の結晶が、寛永11年（1634）から十三年に行われた日光東照宮大造営に見られます。この経費は全て幕府自身が出資し、造営期間中には石灯籠一基すら諸大名から献納させなかったと伝えられています。

　聡明英武でありながら、気さくな人柄であったと伝えられる家光は、剣術や水泳を好み、鷹狩りなどにもよく出かけました。また、茶道や和歌・絵画・連歌・俳諧にも興味を示したそうです。

　今回の展示では、家光の直筆の書画とともに、二代から三代にわたって仕えた御用絵師である狩野尚信の画を展示致します。これらの作品を通して、家光の人柄や御用絵師の手腕を見て頂き、その時代の一端を感じていただきたく存じます。